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待望の本場イタリアンを食べて、まあこんなもんかと思う [B級グルメ雑感]

イタリアのアンコーナという町の空港に夜着く。空港から市内に行くバスはもう最終が出ており、他に選択肢もないのでタクシーに乗ってホテルに向かう。アンコーナはアドリア海に面している田舎町だ。なんと「地球の歩き方」にまったく記載がされていない。イタリアは以前、ミラノに一泊したことがあるだけでまったく不案内だ。

さてホテルにチェックインをして夕食を取りに行く。イタリアのレストランはどこに入っても美味しいという話を聞いていたのと、イタリア料理は非常に好いているので、期待に胸を膨らませて町に出る。ホテルにお勧めのレストランを聞いていたのだが、その場所が見つけられなく(イタリア語で説明されていたのでよく理解できなかった)、しかし、イタリアのレストランはどこでも美味いと聞かされていたので、とりあえず見つけたトラットリアに入る。このトラットリアという言葉だけで、なんか期待が膨らむ。

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(ペンネ・ゴルゴンゾーラ)

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(アンティパスタ。これは今ひとつだ。イタリアのレストランがすべて旨い訳ではないことを知る)

さて、入った店はごく普通の庶民的な定食屋風情のレストランであった。こういうところで美味しいイタリアンが食べられたら最高だと思いつつ、アンティパスタの盛り合わせとペンネ・ゴルゴンゾーラを注文する。ペンネ・ゴルゴンゾーラは私の大好物のパスタだ。アンティパスタはオリーブとサラミや生ハムとバローニ風ハムにパルメツァン・チーズの塊。見た目はあまりよくない。食べても安っぽいハムの味がして、これは全然感心しない。ペンネ・ゴルゴンゾーラも、そもそも好きなので美味しいとは思ったが、これより美味しいペンネ・ゴルゴンゾーラは日本でもドイツでも食べられる。おそらく食べられないのはアメリカぐらいではないか。少なくとも、デュッセルドルフの家のそばのイタリアンの方がずっと味は上。ということで一つの例だけだが、イタリアのレストランはどこに入っても美味しいという通説は私の中では覆された。さて、これで十分だったのだが、店の叔父さんが肉とか注文したらどうだ、と言ってきた。我々がイタリア語をあまり理解しなかったので、私と同行している友人を厨房まで連れて行き、冷蔵庫の中を見せて、これらを食材として料理ができると説明した。我々はこの叔父さんの熱意に押されて、豚肉のソテーとソーセージをつぶしたハンバーグのようなものとサラダ、そしてジャガイモ炒めを注文した。私は日本のレストランで出てくるイタリアン・サラダが好きなので、相当期待をしていたのだが、出てきたサラダはおそろしくいい加減なサラダであった。お酢だけがドレッシングでかかっていた生野菜という風情で、オリーブがなければまったく締まりがないような代物であった。ジャガイモ炒めは、ドイツでも見かけられないほど雑に油で炒められたものであった。豚肉のソテーも家で調理した方が美味しい感じであり、もしかしたらこのレストランは例外的に美味しくないのかもしれないが、しかし営業できているので、イタリアのレストランが美味しいというのは幻想なのではとさえ思わせられた。

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(豚肉のソテー。何の工夫もなく、ただ焼いたものが出てきた)

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(このサラダも何の特色もない。東京のダイニング・バーのイタリアン・サラダの方がずっと美味しい)

とはいえ、ここの叔父さんといいレストランの雰囲気には好感を覚えた。冷蔵庫の中まで客に見せる店はそうそうないであろう。あと、値段は二人で56ユーロとワインを一瓶空けたことを考えると安かった。量は胃の限界を超えるほどあった。ということで、下町っぽい雰囲気は最高に近いものがあっていい時間を過ごせたが、料理のレベルといったらデュッセルドルフのイタリア料理に比べても大いに劣るようなものであった。もちろん、イタリアもちゃんとした店に行けば想像を絶するように美味しいのだろうが、適当に入っても美味しいものにありつけるほど食文化が高いわけではないことは理解できた。そういう点では、どんな食堂に入ってもまずいものは出てこないという大阪の食文化に比べると大いに劣る。大阪の食文化はおそらくイタリアの食文化よりレベルが高いであろう。イタリアのレストランはどこでも美味しいという偏見が覆されたことは、他文化を理解するうえで重要なことであり、そういう点では有意義であったが、ちょっと残念。

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