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ドイツの大学生は鉄道で通学する [ドイツ便り]

ドイツの大学生は鉄道で通学するものが多い。とはいえ、地方の村のような場所に住んでいる学生は最寄り駅までが不便なので必然自動車で家から駅まで行き、そこで鉄道駅に乗り換えて大学まで来る。いわゆるパーク・エンド・ライドである。私は、車で駅まで行くならいっそのこと大学まで来た方が早いし楽だろうと言うと、そんなことはないと答える。車で通った方が遙かに高い、と答える。高いと言ったってドイツは高速道路は無料だし、ガソリン代が高いということかと尋ねると、そうだと答える。ドイツはほぼ日本のガソリン代が同じくらいだから、それはちょっと違うんじゃないかなとその根拠を問いただすと、鉄道の運賃がべらぼうに安いということが分かった。どうも大学生だと一学期90ユーロという格安の値段で、通学ルートだけでなくノードライン・ヴェストファーレン州のどこでも鉄道やバスが乗り放題だという。90ユーロであったら、そりゃガソリン代より安い。この券はいわゆるドイツ新幹線であるICEや特急のICには乗れないが他は乗れるという。まあ、ここまで安ければ鉄道も利用するなと納得する。

もちろん事業としては大赤字であろう。しかし、道路整備事業は利用者から金を取らないから確実に赤字事業である。私的な交通手段である自動車が走る道路(一部、パトカーや救急車、消防車といった公共的な交通もあるが)が赤字で鉄道だけ事業採算性を問う日本の交通の考え方の方がおかしいような気分になってくる。もちろん、日本は鉄道事業自体のほとんどを民営化してしまい、公的セクターが運営をしていないところが多いこともあるのかもしれないが、交通アクセスが公的な権利であると捉えると、ドイツのアプローチの方が人々の豊かさは向上すると思う。

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