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新型インフルエンザの直撃を受け、ドイツ人の成熟度を知る [ドイツ便り]

新型インフルエンザが日本で流行していたのを対岸の火事として眺めていたら、デュッセルドルフの日本人コミュニティを直撃した。地元のメディアも大きく取り上げており、全国版でもニュースになっている。新型インフルエンザというウィルスが日本人において集中的に流行しているというのは不味い現象である。潜在的な外国人排斥的な意識が表面化しないことを祈るばかりである。

長女は日本人学校に通っている。幸い、長女は陰性であったが、2週間ほど休校になっている。家族もこの4日間は家に籠もっているような状況である。この週末は日本デーというデュッセルドルフのお祭りがあったのだが、デュッセルドルフの日本人は基本的にシャットアウトされており、日本人学校に通っている児童をもつ家庭は日本デーには参加しないようとの通達が市役所からあった。せっかくの交流の機会であったので残念である。とはいってもウィルスの交流は迷惑千万であるから、致し方ない。

聞くところによると日本でもインフルエンザに罹った人達は差別を受けて、インフルエンザが流行った学校の制服をクリーニング屋が受け取らないといった事件もあったようだ。ドイツにおいて日本人というマイノリティにおいて集中的に流行って、しかもマスコミがその点から取り上げたというのは、不味い状況ではあるが、今のところ、嫌な目にあったのは語学学校のイタリア人の同級生に「日本人は家にいろ」と半分冗談のように言われたことぐらいである。隣近所の何人かのドイツ人とは話をしたが、その話題は相手が気を遣ってかどうかはしらないが出てこなかった。

一番気になったのは次女の小学校である。長女が陰性であること、感染者との最後の接触日から1週間経ったこともあり、連休明けの月曜日に登校前に小学校に電話をして通わせてもいいかと尋ねるとまったく問題ないとのこと。同級生の親が気にしているのではないか、と尋ねると、そのような問い合わせは今のところないとのこと。通わせるのは問題ないと言われたので、通わせることにする。学校でいじめられるかと心配したが、そのようなことはなかったらしい。このような対応にドイツの社会としての成熟度を知る。まあ、もしかしたらあまり気にもしなかっただけのことなのかもしれない。とにかく、集団感染する病気が日本人コミュニティに集中したことによる人種差別的な日本人の排斥行動をみなかったという事実は、大変助かったし、ほっとする。大学とかで教えていると、たまに差別問題を是とするようなレポートを書こうとする学生に出会ったりする。そういえば、私が大学に赴任する前に働いていた会社の上司は人種差別者で、マレーシアのブミプトラ政策に感服したという大馬鹿者であったが、そういう差別肯定主義者は、実際、自分が外国で暮らしてマイノリティになった時に、そのような考え方がいかに残酷なものかを知るといいと思う。まあ、私もこの経験を通じて、差別的な考え方を持つことの卑劣さをより自覚しなくてはならないと思う。とりあえず、繰り返しになるがドイツのというかデュッセルドルフの人達が、この点に関しては非常に成熟した意識を有していてよかった。
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