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デュースブルクのレゴランドに行き、大いにがっかりする [都市デザイン]

隣の都市のデュースブルクのレゴランドに、次女を連れて行く。次女は学校が休みであった。レゴランドで有名なのは本家本元のデンマークのものである。デンマーク以外にもデュースブルクのドイツ、そしてアメリカにもある。私はどのレゴランドにも行ったことがなく、しかもレゴ好きな子供であったこともあり、結構、期待して娘と連れだっていったのである。

デュースブルクのレゴランドは、デュースブルクの運河沿いの工場跡地を大規模再開発したところにある。IBAプロジェクトの一つである。おそらく肝いりの集客施設としてつくられたのではないかと推察する。デュースブルクの運河再開発事業は、IBAルールプロジェクトの中でも相当、大規模で、多くの注目を集めた事業であった。大規模な国際コンペも行い、確かノーマン・フォスターがクレセント(三日月型)の建物を提示し、勝った筈である。しかし、この建物は予算が不足していたために現在でも建てられていない。そこには、ただの空地が広がっている。この再開発地区のネックは公共交通でのアクセスが悪いことである。レゴランドの行き方をホームページでチェックしたら、自動車とバスでの行き方は記されていたが、路面電車での行き方は記されていなかった。中央駅が最寄り駅でないことは確かだが、ちょっとよく分からなかったので、次女と中央駅から歩いていくことにした。運河までの道のりは中心市街地を通っていくので退屈はしない。学校が休みの日ということもあり、中心市街地は大いに人で賑わっていた。ここは、ルール工業地方の5大都市の中では最も中心市街地が衰退していると指摘されているのだが、その指摘は本当なのかと思わされるような賑わいであった。

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(デュースブルクの中心市街地の賑わい)

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(デュースブルクの運河の再開発地区)

レゴランドはおそらく中央駅から3キロ弱くらいあったと思う。運河に出た後も、運河沿いを結構歩かなくてはならない。これは変化がなく、結構辛かった。健脚の娘を持って幸いであった。さて、レゴランドは運河沿いの倉庫跡地につくられたような風情であった。巨大なレゴでできたキリンが建物の前に立っている。入り口はちょっと拍子抜けするぐらいに簡素であり、また入場券を買うレジが、お土産物のレジと一緒になっており、ちょうどお土産を買う客が多くいたので随分と待たされた。後ろに並んでいたドイツ人親子は勝手にここを無視して先に行き、後で呼び戻されていたが、我慢強いドイツ人でも、入場券を買う客を後回しにするというサービスの悪さには耐えられなかったのではないだろうか。こんなのは自動販売機をつくれば済むのにと思わずにはいられない。入場券は大人が約13ユーロ、子供が約10ユーロであった。子供が主体のテーマパークなので子供の値段が高い。まあ、これは致し方ない。

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(レゴランドの入り口)

入場券を買うとエレベーターに乗る。エレベーターの中は音声のアナウンスがあったが、あまり盛り上がるような雰囲気ではなかった。エレベーターを降りると、レゴによりつくられたデュイスバーグの街並みを中心としたルール工業地帯の展示がある。デュースブルクはライン川沿いにつくれらた港町である。鉄鋼の積み出し港としてルール地方の港湾として機能した。そういうことがよく分かる展示であり、いろいろと列車が動いたり、クレーンが動いたりして面白かった。オーバーハウゼンの巨大なタンク、世界遺産に指定されたエッセンの炭鉱跡地の展示など巨大なIBAプロジェクトがレゴでつくられたものが展示されていたりするのも感心した。

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(レゴでつくられたデュイスバーグの港湾地区)

さて、しかし映画が始まるということで、まだまだ見たかったのだが、映画館のようなところに急かされて入れられる。映画は3Dのもので、レゴでジェットコースターをつくるという内容であった。映画の内容は結構よかったのであるが、なぜか映画でしょっちゅう水がこぼれる。そして、水がこぼれる度に、観客にも水がかけられるといった工夫がされていた。ドイツ人の人達は結構、これを喜んでいたが、次女は結構、不快であった。私も全然、楽しくなかった。3回目にはちょっといい加減にしろ、という気分に親子でなっていた。そして、トドメは最後にジェットコースターに主人公達が乗るところで、意味もなく雪が降るのと同時に、シャボン玉のようなものが館内に降ってくるのであるが、これが洗剤のような臭いがする。それらが頭や洋服について、次女も不快であったが私も不快であった。とはいえ、次女は私の頭についた泡を喜んで笑っていたが。

とはいえ、この最初の二つがレゴランドで最良のものであった。その次に乗った車のようなもので移動するアトラクションは、内容がほとんどなく、これもレゴでできたと思われる竜が水をかけることが最大の山場であるという脱力ものであった。これは酷い。その次は、レゴをつくる過程を教えてくれる展示であったが、次女はドイツ語の説明をまったく理解できないため、全然面白くなかったようだ。私は、これはそこそこ面白いとは思った。次は船をリモート・コントロールで操縦するというゲームをやるのだが、これも今ひとつ。その次は、ジャングルの中といったセッティングで、いろいろと生き物の問題を解くといったアトラクションなのだが、ドイツ語だったので今ひとつ面白くなかったようだ。まあ、問題自体もそれほど気の利いたものでもなかった。そして最後は回転する滑り台であった。いやあ、子供騙しというが、これでは子供も騙せないのではないか。7歳の次女も「ここはちょっと今ひとつだね」と見限っていた。「ちょっと次に来るのはどうかな」とも言っていた。なんと7歳になめられてしまっている!まずいんじゃないか、レゴランド。しかし、次女は最後の土産物販売所と食堂があるところで、自由にレゴで遊べたことで相当、満足度をあげたようである。結局、レゴランドで最強のコンテンツはレゴであるということか。しかもレゴの魅力というのは、自らつくることであり、つくられたものを鑑賞するということではない。ちょっと、レゴを無理矢理使った展示をしようとすることで、むしろレゴの魅力を失っているような気がしないでもない。むしろ、レゴとあまり関係ないようなアトラクションをするようなことを考えてもいいかもしれない。現状は酷すぎる。あと、レゴランドであるにも関わらず、土産物屋で買いたくなるようなレゴのセットがなかった。そもそも量も少なく、これならそこらへんのショッピングセンターの方がよほど品揃えがいいのではないかとも思わせられた。

デュースブルクはルール工業地帯がまさにヨーロッパの工場であった時代は、その繁栄がもたらす豊かさを大いに享受した。しかし、産業構造の変革によってルール工業地帯が衰退するのと歩を合わせて、経済的に大きなダメージを受けている。ルール地方の代表的な縮小都市である。そのために、第三次産業などの雇用を創出することが極めて重要な経済政策になるのだが、その機会をこのようなつまらない集客装置をつくることでふいにしている。もったいないことだと思うと同時に、これがデュースブルクの運命なのかもしれないと思わずにはいられない。レゴランドというコンテンツがあまりよくなかったのかもしれないが、もっと面白いものにすることは出来た筈である。何が足りなかったかというとマーケティングであろう。こんなつまらないアトラクションで、来場者が満足すると思ったら大間違いである。特に、これだけ交通の便が悪い(まあ、皆自動車で来ているだけかもしれないが)ところで、それなりに集客を図るためには、相当、コンテンツに気を配ることが必要であろう。残念だ。

帰りは行きと同じ運河沿いを歩き、路面電車を2駅ほど乗り、中央駅まで戻った。


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