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エアフルトを訪れ、旧東ドイツの都市の魅力を改めて再確認する [都市デザイン]

チューリンゲン州の州都であり最大の都市であるエアフルトを訪れる。最大といっても人口は20万人ちょっとにしか過ぎないし、知名度も隣のヴァイマール(ワイマール)市に大きく劣るというあまり冴えない都市だ。しかし、このエアフルトはなかなか魅力溢れる都市であった。半日しか過ごしていないのだが、この都市の大聖堂広場に面して屹立する大聖堂と聖セヴェレス教会は強烈な存在感がある。そのシルエットは美しく、そのままエアフルトのアイコンにもなれるような素晴らしいものであった。このような美しいシルエットを形作るというのは、都市建築として優れた要件の一つであろう。大聖堂としても、なかなか見事なものであり一見の価値はあると思われる。

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(大聖堂広場から大聖堂と聖セヴァレス教会を望む)

エアフルトには、橋の両側に商店が建ち並ぶクレーマー橋が存在する。商店は4階くらいの高さがあり、内部からはこれが橋であるとは分からない。この橋の入り口に教会が建っており、この教会の塔に上れるのだが、そこからの景観は見事である。この都市が塔の街と言われることが分かる。幾つもの塔が天に向かって伸びている姿はなかなか壮観だ。

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(クレーマー橋はこの類の橋としては中欧唯一のものである)

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(クレーマー橋の塔からの市街の眺め。塔の街であることが分かる)

戦争で破壊されず、昔の建築、街並みが残っており、しかもモータリゼーションのマイナス影響をあまり受けずに住んだ旧東ドイツの都市は訪れる価値があると思われる。多少、ドイツ的な過剰装飾、メルヘンらしさがもたらす幼児性が鼻につかない訳ではないが、それでも都市景観としては素晴らしいと思うし、ヒューマン・スケールの空間がもたらす活力と居心地の良さは気に入っている。先日、訪れたヴェルニゲローテやクヴェードリンブルクといった小都市も好きだが、路面電車が走っているくらいの都市規模の都市空間はより活力に溢れ、そのアーバニティは素晴らしいと思う。戦災を免れたゲーリッツもよかったが、エアフルトはより人口規模が大きく、よりよい印象を覚えた。建築も前述した大聖堂、聖セヴェレス教会を始めとして、ネオゴシック様式の市役所、ルネッサンス様式の建物、社会主義時代の無味乾燥な集合住宅と、色鮮やかに揃えており、建築の博物館のような楽しさがある。人口20万人程度で、このような賑わいと活力を有する日本の都市はもう少なくなってしまっている。その違いを分析、考察することで日本の中小都市も以前の活力を取り戻せることができるかもしれない。そのような印象を持たせてくれたエアフルトの訪問であった。

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(ネオゴシック様式の市役所には無料で中に入り、見学をすることができる)
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