SSブログ

100年以上の歴史を有するモノレールのあるウッパータルを訪れる [都市デザイン]

日曜日なので近場の都市にでも出かけようと考え、ゾーリンゲンに向かう。ゾーリンゲンはヘンケルなどの刃物関係で有名なデュッセルドルフの隣の都市だ。デュッセルドルフ中央駅から鉄道でゾーリンゲン中央駅まで行く。駅で降りて、街中にヘンケルなどの店を探したのだが全然見あたらない。刃物博物館らしきものがある筈なのだが、それもない。おかしいなと思い、街中の地図をみたらゾーリンゲンの中心は、中央ゾーリンゲン駅(Solingen Mit)であってゾーリンゲン中央駅(Solingen Haptbahnhof)ではないことを知る。ということで、中央ゾーリンゲン駅にまた鉄道で行こうと駅まで戻る。中央ゾーリンゲン駅に行くのはウッパータル行きの列車に乗ればいい。ということでウッバータル行きの列車に乗ったら、これは中央ゾーリンゲン駅ではないルートでウッパータルに行く列車であった。どうも、ゾーリンゲン中央駅とウッパータルとを結ぶ路線は二つあったらしい。

列車を降りて戻ろうかとも考えたのだが、面倒くさいので、これもいい機会だろうとウッパータルに行くことにする。なぜならウッパータルは1901年に開業したウッパー川の上を走るモノレールがあり、これをチェックしたいと前から思っていたからである。さて、ウッパータル中央駅を降りて、地下通路を下っていくと、モノレールの駅がある。凄いレトロ感溢れる駅で、アール・ヌーボー的な雰囲気がプンプンとする。モノレールは多摩都市モノレールや羽田モノレールなどとは違い懸垂型で、このモノレールを支持する構造物も深緑のレトロ感溢れるものであった。いいねえ、いいねえ、と感心しているとモノレールが来た。モノレールの車両は意外に現代的であった。モノレールはまた思いの外混んでいた。日曜なので観光客もいる感じであったが、地元利用者が割合的には全然、多いのではないだろうか。

IMG_3675.jpg
(レトロ感溢れる駅の構内)

IMG_3687.jpg

ウッパータルという都市は人口36万人ほど。ルール工業地帯ではビッグ4(ドルトモント、デュッセルドルフ、デュースブーグ、エッセン)に次いで大きい。ウッパー渓谷に沿って発展した都市で、ドイツではめずらしく渓谷に沿って回廊上に発展した都市である。そのため、モノレールのような線上の公共交通が成り立つ優れた条件を有していたのである。この都市が有名なのは、エンゲルの生誕地であることと、アスピリンがここでつくられたことか。しかし、私にとっては、このモノレールがあることで訪問する価値を有する。

IMG_3729.jpg

モノレールに話を戻すと、このモノレールは延長13.3キロメートル。ほとんどの部分をウッパー川の上部を走るのだが、西部のツォー駅以降は川から離れて走る。駅数は全部で20。中央駅はほぼこの中間に位置する。どちらかというと中央駅から西側の方がレトロ感漂う。東側の方が新たに郊外開発をされたような印象を受けるが、実際は、東側は1901年、西側は1903年に開業したので東側の方が古い。日本でモノレールというと、なんか必要以上に過剰装備をした金の無駄的な乗り物をイメージするが、ここウッパータルのモノレールはシンプル感漂う。路面電車とあまり変わらない印象を受ける。中にはレストラン用の車両もあったりして、結構、遊び心に溢れている。最近では日本でも富山ライトレールなんかが、車体の色分けをしたり、イベントなどもしたりして遊び心が感じられるようになったが、なんかドイツの公共交通の力が抜けたような、肩に力が入らない感じは、縮小都市ならではの生き延びる知恵のようなものを感じるのである。これから縮小時代を迎える日本においても参考になるウッパータルのモノレール事業であると思った。縮小時代においては、古いモノが生き残り、新しいモノは捨てられていく。この点は、ドイツから学ぶべきことであり、まあ帰国するまでに何かしら、自分なりに研究成果をまとめられたらとも思う。

IMG_3724.jpg

nice!(2) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2