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ドルトムントという都市の印象 [都市デザイン]

ドルトムントに1週間ほど暮らした。ドルトムントは東西に走る鉄道路線を境にして大きく、その性格を異にする。北は土地が平らであり貧しく、南は土地に起伏があり豊かである。この構造は中央駅周辺でもいえ、南部は教会もあり、ドイツの都市に多くあるように自動車を排除した商業空間が存在するが、北部は移民が多く、飾り窓もあったり、ゴミも散乱したりして、明らかに生活環境は悪い。このミクロ、そしてマクロの南北問題がドルトムントの都市問題なのだろうと推察される。

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(ドルトモントの都心の北側。右側にみえる建物はモスク。手前左側に所在なげに白人達が立ってビールを飲んでいる)

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(これも都心の北側。ノルドシュタットと壁に書かれているのが分かる)

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(ノルドシュタット。ドイツとは思えないような雰囲気が漂う)

とはいえ、郊外に行くと、結構、しっかりとした住宅も多く、あまり貧しいといった印象を受けない。その点を、ドルトムント工科大学の教員のフランク・ルーストに尋ねると、ここらへんの住宅は1970年代につくられたのだが、しっかりと丁寧につくられている。そして、当時、これらの住宅に住み着いた人々は製鉄業や炭坑の仕事をしていたので年金もよい。だから結構、裕福な暮らしができるようだ。しかし、問題はこの人達の子供達で彼ら、彼女らには仕事がないとのこと。つまり、住宅は立派だが、必ずしも仕事を持っていない人達がたくさんいるらしい。夕張とかと似ている。日本だったら、すぐそういう人達は他の場所に仕事を探しに出て行くけどなあ、と言うと、ドイツだと失業保険で月1000ユーロ(13万円くらい)もらえるので、敢えて他の都市に行き、家を借りて低賃金の仕事をするメリットがないから、無職のままでこの地に残って、いい住宅で暮らすのだ、とのこと。

そうなのか。しかし、その行動は確かに経済的には合理的なのかもしれないが、なんか人生の大切なものを失ってしまうような気がしないでもない。無職でいても何か将来に繋がるようなことをしていればいいだろうが、ぶらぶらしてビールだけを飲んでいたりしたら、それはそれで悲しい。社会のセーフティ・ネットがしっかりしていることは、日本の状況を考えると素晴らしいかもしれないが、それはそれで問題もあるなと思わされた。いろいろと、世の中、難しい。

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