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ドゥービー・ブラザースの名曲「チャイナ・グローブ」の町を訪れ、少し落胆する [ロック音楽]

数々の名曲を残したアメリカのロック・バンドの雄ドゥービー・ブラザースの個人的には最高の佳曲である「チャイナ・グローブ」。「キャプテン・アンド・ミー」という1973年に出された3枚目のアルバムに入ったこの曲は、テキサス州サンアントニオの郊外にある「チャイナ・グローブ」という町を歌っている。人口が1200人ちょっとの小さな町である。その歌詞をざっと訳すと次にようになる。

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「サンアントニオのそばにある眠そうな小さな町に太陽が昇る。人々が起き始める。そこに住む人達は風変わりである。(中略)毎日、新しいことが起きる。東洋風の考え。シェリフと侍刀を持つ仲間達。夜には音楽が聞こえてくる。そこはローン・スターの州の一部だけど(訳者注:ローン・スターとはテキサス州のこと)、人々は気にする風でもない。彼らは東を見続けるのである。チャイナ・グローブのことを言っているんだぜ。おお、チャイナ・グローブ」
一度聴いたら忘れられない強烈なギター・リフのイントロから始まるこの曲は、その歌詞でも聴く者の関心を惹く。テキサス州のサンアントニオのような町に、こんな中国系の人ばかりが住んでいる風変わりな町が存在するのか、という興味である。こんな町があるなら、是非とも訪れなくてはならない。

ということで訪れた。サンアントニオの東の外れにある、まさに眠そうな小さな町である。なんでこんなところに中国人が住んでいるのだろうか、興味は尽きない。しかし、そこには中国人どころかアジア系の住民でさえ、まったくいなかった。というか有色人種もほとんど見られない。典型的な白人の郊外住宅地である。あの「夜には音楽が聞こえてくる」とトム・ジョンストンが歌った後で、流れるいかにも中国風のキーボードのソロと、この町の風景は全く合致しない。むしろ、ジョン・デンバーの歌がしっくりとくるような町であった。肩すかしもいいところだ。

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まあ、チャイナ・グローブというのは名前だけで、実際はほとんどが白人住民の住宅地であり、あの名曲の歌詞とこの町とはほとんど関係がないということが理解できた。おそらく、ドゥービー・ブラザースの面々もこの町に来たこともないだろう。名称が面白いので、そこからインスピレーションがわき出てつくられたのであろう。そして、そのインスピレーションを与えたのは、彼らが本拠にしていたサンフランシスコの中華街であったと推測する。というのは、この曲のメロディー、そして歌詞はサンフランシスコの中華街にぴったしであるからだ。私も実は、ながらくこの曲はサンフランシスコの中華街を題材にしたのだろう、と思っていたのだが、ダウン・アランド・サンアントンといった歌詞やローン・スター・ステートといった歌詞に気づいて、え!もしかしたらテキサス州のサンアントニオのそばにそんな中国人が住んでいる集落があるの?と考え、大いに興味を持って調べたら、本当に地図にチャイナ・グローブという町があることに気づいた次第であるのだ。しかし、実際の町は歌詞と関係なく、歌詞はフィクションであった。ちょっと残念であり、少し落胆する。


キャプテン・アンド・ミー

キャプテン・アンド・ミー

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/05/25
  • メディア: CD



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