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駅弁を考える [B級グルメ雑感]

会社員をしていた頃はよく地方に出張に行っていた。とはいえ、出張先というか仕事で縁がある地域とそうでない地域があり、全国津々浦々と行っていたわけではない。私の場合は東北でいえば仙台や郡山、金沢、福井、富山といった北陸地域、長野市、名古屋市、大阪市、神戸市、福岡市、北九州市と縁があり、よく行った。逆に縁のない地域は島根や鳥取といった山陰地域や熊本、大分、鹿児島、静岡、浜松、豊橋、和歌山、四国四県などであった。出張が多いと困るのは移動中の食事である。列車での移動が多いので、駅弁に頼らざるおえない。駅弁というのは、保存料も多く、健康にあまりいいものではないが、それでも食べないよりはましである。そして、同じ食べないよりはましであれば、少しでも美味しいものを食べた方がいい。私の会社の後輩は、「駅弁ばかり食べていると、美味しくなくて陰鬱な気分になりますよね」と文句を言ったことがあるが、それは彼が美味しい駅弁をしっかりとリサーチせずに、どうせ大して違いがないだろう、と適当に駅弁を買っていたからである。しっかりと調べれば、まずい駅弁を買わずに済む。そして、より美味しい駅弁を食べて、ちょっとハッピーになることだって出来るのだ。

さて、とはいえ莫大な駅弁の選択肢から、どれを選ぶのか。人それぞれの好みもあるので、自分なりのリサーチ基準を設けることがベストであるのだが、ここでは参考までに私のリサーチ、考え方を開陳する。まず、最初に駅弁という選択肢だけに拘る必要はない。東京駅や京都駅、品川駅、大阪駅、新宿駅などは駅ビルにデパートが入っているので、そういうデパートの総菜屋で購入してしまう、ということも一つの選択肢である。鉄道に乗るのだから、といって駅で販売している弁当に拘る必要はない。とはいえ、時間がなかったりして、しょうがなく駅弁を購入しなくてはいけない事態もあるだろう。そのような状況下ではどのように判断すればいいのか。

まず、判断材料として私が重視している、というか掟のようにしているものは、「JR系の子会社のつくる駅弁は買わない」というものである。これは、この子会社は、流通のチャンネルを押さえていることや、駅弁というある規模のマーケットを確保しているためか、あまり競争原理が働かないので、美味しい駅弁をつくろう、というインセンティブが機能していなく、結果として不味い駅弁を生産しているからである。JR系の子会社のつくる駅弁で美味しいと思ったものは一つもない。どうにもならない時は、上野駅や東京駅で「チキン弁当」を買う時がないわけではないが、基本的には避けて買わないことが賢明である。最近では、広告も随分と打ったり、また他の地元のライバル会社をホームから追い出したり(新大阪駅の新幹線ホームから、JR系より100倍は美味しい水了軒の追い出しを行った)、いろいろと企業努力をしたりしているように思えないこともない。そして、実際、もしかしたら改善しているかもしれないと私も何回か、試しに買ったことがある。しかし、そのたびに、JR系子会社の駅弁は相変わらず「不味い、高い、量が少ない」の3拍子揃っていることを再確認させられた。本当、JR系の子会社の駅弁を食べると、犬の糞を踏んだように、その日がなんかついていないと思えてしまう。このようにJR系子会社が美味しい駅弁をつくれない理由は、美味しい駅弁をつくるというインセンティブが組織として働いていないからだと思う。ライバルを売場から追い出したり、私のように駅弁に拘りを持つ人がマイノリティーの市場を客相手にしたりしている中、わざわざ美味しい駅弁をつくろうとは思わない、というのは納得できなくもない。さて、それと違って、圧倒的な不利な状況下で、このJR系子会社の駅弁と競合しなくてはならない地元の駅弁会社は、当然、味で勝負をせざるおえないので、必然的に美味しい場合が多い。とはいえ、その中でもいくつか選択肢がある場合は、どのように対処すればいいのか。ここは私の独断であるが、私であればこれを推薦する、という駅弁を紹介したいと思う。

まずは東京駅。東京駅は巨大な駅弁マーケットを抱えているために、JR系の子会社がほとんどの駅弁売場を寡占しているが、「膳まい」という店舗が、崎陽軒のしゅうまい弁当や、マコト、常盤軒、銀座ハゲ天、銀座日の出寿司、とんかつのまい泉の駅弁などのJR系の子会社ではない駅弁を売っている。まさにオアシスというか、掃き溜めに鶴的存在である。私は、そこでほとんどの場合、崎陽軒のしゅうまい弁当を購入する。崎陽軒のしゅうまい弁当は、横浜駅の駅弁としてスタートしたと思われるが、今では横浜駅だけでなく、ここ東京駅、新宿駅、大宮駅や羽田空港などでも購入できる。あまり地域性がない駅弁になってしまっているが、それでも味、値段等を考えると、しゅうまい弁当はクオリティが高く、失望しない。しゅうまい弁当はちょっと今ひとつかな、という気分の時には常盤軒の駅弁を買う。銀座ハゲ天も食べたことがあるが、そんなに美味しいと思わなかったのと、駅弁という風情がしないのが難である。マコトはJR系子会社の弁当よりは幾分、ましであるが、私はそれほど好みではないので買わない。この「膳まい」の店舗は新幹線の改札口に入る前にあるので、くれぐれも改札口に入った後で駅弁を買おうとは思わないこと。改札口をくぐった後は、本当に美味しい駅弁はない。泣く泣く、「深川弁当」か「チキン弁当」を買って、ああ、失敗したと忸怩たる思いをするだけだ。

次は新大阪駅。ここは絶対に水了軒。水了軒がつくる駅弁は極めてクオリティが高いのだが、今は新幹線のホームでは手に入らなくなってしまった。ホームの下の改札口のフロアでしか購入できない。したがって、駅弁が必要な時はホームに上がる前に購入することが必要である。それにしても、JR系の子会社の駅弁会社(ちなみに社名はNRS。このNRSがついているかどうかを、駅弁を買う前にチェックするのが美味しい駅弁にありつく基本中の基本。NRSの駅弁を買わないことが何よりの基本)は、水了軒をホームから追い出したりして、本当に客のことを考えていない。私はその事実に気付き、列車の出発時間ギリギリであったのに下の階に行き、急いで水了軒の弁当を購入したことがある。水了軒の弁当は基本的には外れはないが、特にお勧めは八角弁当である。これは、あの島耕作でさえ、漫画で「美味しいですね」と言った駅弁である。大阪駅でも購入できる。

さて、東京、大阪と来たら京都か。残念ながら京都駅の駅弁で美味しい駅弁には出会ったことがない。有名なのは萩の家の「精進弁当」か。しかし、大阪の八角弁当に比べると味が落ちる気がするのは私だけだろうか。敢えて、京都で買う必要はあまりないと思う。同じことは名古屋駅にもいえる。味噌カツ弁当、とか悪くはないが、それほど美味しくない。むしろ、新幹線のホームでのきしめんの方がずっと美味しい。名古屋駅は、駅弁を買わなくてはいけないようなシチュエーションになったら、駅ビルの総菜屋で何か買った方がいいと思う。それに対して、新神戸駅はワイン弁当とかひっぱりだこ飯といった、ちょっと怪しげなネーミングの駅弁があるが、結構、クオリティが高い。私は、この二つとも結構、好きでありお勧めである。

次は、私が非常勤講師をしていることもあり、未だに頻繁に行く機会のある仙台駅。仙台駅は、駅弁が相当、美味しい駅である。もちろん、JR系の子会社の駅弁はここでも美味しくないのだが、コバヤシと伯養軒という二つの地元の弁当屋が頑張っている。その中でも私が好きなのは、伯養軒の「仙臺伊達辨當」である。二段重ねになっており、煮物や厚焼き卵、笹釜、焼き魚など多彩なおかず群と握り飯が入っている。絶品だ。駅にある利休の牛タン定食より、こちらの方が美味しいと思ってしまうくらいである。とはいえ、最近、この弁当を購入しようと探していたのだが、見つからなかった。というか伯養軒の弁当が全然、見つからず、コバヤシとJR系子会社の日本レストラン・エンタープライズの駅弁ばかりが売っていた。コバヤシも悪くはないが、「仙臺伊達辨當」のクオリティには及ばない。それにしても、伯養軒はどうしたのだろうか。

有名どころでは、富山のます寿司弁当は、美味しいといえば美味しいが、この源のます寿司より美味しいます寿司が市内にはある。どうせます寿司を食べるなら、そちらのます寿司を食べたいと個人的には思ってしまうので、ちょっとマイナスか。熱海駅や小田原駅、静岡駅などで手に入る「鯛めし」は子供の頃、食べて大感動したことがあり、美味しいものとして刷り込まれてしまっていることもあり、今でもその駅を利用すると食べたいと思う。同じことは横川駅の峠の釜飯でもいえるが、もはや信越本線で横川駅を利用しなくなってしまった今、ちょっと積極的に買おうとは思わない。とはいえ、信越新幹線を利用する時は、条件反射的に車内販売で買ってしまう傾向が自分でも見受けられる。あと、いわき駅のうにピラフ、かにピラフは、いわき市内のレストラン「メヒコ」がつくっているもので、結構お勧めだ。量は少なく、値段も割高であるが、JR系の子会社ではまず、つくることのできないクオリティの高さを味わうことができる。千葉駅の万葉軒の「菜の花弁当」も美味しいという記憶がある。とはいえ、今、千葉駅を使って駅弁を買うという必然性がない。今でも売っているのかどうか不明だが、私の記憶に美味しい駅弁として刻まれている。同じように記憶に残っているのは博多駅の「かしわめし」だ。「かしわめし」は、極めて平凡なのだが、平凡な中にも駅弁らしさが漂う懐かしさを覚える弁当だ。高山駅の「飛騨弁当」は、今でも記憶に残った美味しい駅弁の一つだ。もう一度食べたい、と思う駅弁はそんなにないが、この「飛騨弁当」は食してみたい。米原駅の「ステーキ弁当」もなかなか美味しかった。北陸から米原経由で帰る時は、福井駅や金沢駅の駅弁を買わずに、米原駅まで我慢した方がいいと思う。駅弁ランキングで上位の常連である森駅の「いか飯」は、以前、森駅に行った時には駅構内で購入できなかった。ということで、なんかただの店で買ったような印象が強く、私としてはどうも駅弁として認めたくない気持ちがある。それに森駅には仕事で行くようなことはほとんどないので、ここではあまり評価したくない。

まあ、駅弁を食べて飢えをしのぐ、という出張をしなくてはならないサラリーマンは大変だが、むしろ駅弁を食べるということを肯定的に捉え、しっかりとリサーチをして美味しいものを食べるようにすれば、それは辛い経験ではなく、楽しい経験へと転換することができる。そして、美味しい駅弁を求める消費者が増えれば、JR系子会社の寡占状況に風穴を空けて、さらに状況を改善することもできるであろう。厳しい消費者が、いいものを供給する業者を支援する、といった状況に持っていくことが必要である。不味い駅弁ばかりではない。知らないだけなのだ。
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