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マンチェスターのDJと話をしていて、つくづくイギリスのロック・ミュージックが世界に与えた影響の大きさに愕然とする [ロック音楽]

ベルリンのシンポジウムにてマンチェスターのDJと知り合いになり話をする。マンチェスターはオアシスやスミス、ストーン・ローゼス、ジョイ・ディビジョンなどを輩出している。人口50万人くらいなのに、凄いことだ。これらのバンドのおかげで、マンチェスターという都市は世界中に知られている。まあ、特にオアシスの影響は大きなものがあるだろう。オアシスは自分たちのアイデンティティを表現するのに、マンチェスターという都市を使った。しかし、マンチェスターという都市のイメージを纏ったオアシスが、そのうちオアシスが体現するキャラクターによってマンチェスターのイメージを刷新するまでになっている。凄いことである。マンチェスターは結構、過激に縮小した都市である。しかし、1990年からロック・ミュージックを都市づくりに活かしている。基本的にはナイトクラブ(日本で言うところのライブハウス)を活かした都市づくりである。これは計画されたかどうかは不明なのだが、あまりにもナイトクラブがイケているので、多くの大学生がマンチェスターに来るようになったのである。そして、なんと人口も増えるようになっている。まあ、この人口増加の中身は中東やインド、東欧からの移民ではあるのだが。

しかし、ここで話をしたいのは、ビートルズ以来世界中を席巻しているロック・ミュージックのほとんどの多くがイギリス、そしてアメリカで発信されているということである。特に、ロックを芸術の域にまで高めた、という点ではイギリスの影響は非常に大きい。ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ゼム、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリン、フー、キング・クリムゾン、イエス、ジェネシス、ELP、ディープ・パープル、デビッド・ボウイ、T.Rex、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、ロクシー・ミュージック、クィーン、スティーブ・ウィンウッド、セックス・ピストルズ、ジャム、クラッシュ、エブリシング・バット・ガール、XTC、ケイト・ブッシュ、スーパートランプ、ダイアー・ストレイツ、ポリス、スミス、スクリッティ・ポリティ、オアシス、レジオヘッド、コールドプレイ、ヴァーブなど、これだけ多くのミュージシャンを輩出し、彼ら彼女らの音楽を世界中に発信し、人々に大きな感動と知的刺激を与えた国はない。改めて考えると、本当に凄いことだ。このホームページをベルリンの電車に乗りながら書いているのだが、途中で乗ってきたホームレス風の流しの男がいきなりギターの弾き語りで歌い始めたのが、レディオヘッズの「クリープ」である。これがロンドンとかリバプールならまだ分かるが、ドイツである。本当に凄いよな、イギリスのロックが与えた影響力。私自身も人格形成にメチャクチャ大きな影響を受けている。ロックしている、ロックしていない、というのは私の極めて重要な価値観だ。何がロックしているか、という定義ははっきりとしていないのだが。特にビートルズ、ピンク・フロイド(ロジャー・ウォーターズ)、ピーター・ガブリエルには影響を受けている。私の大学時代以来のテーマソングはスティーブ・ウィンウッドの「ホワイル・ユー・テイク・ア・チャンス」、そして社会人になってからはエブリシング・バット・ガールの「ランゲージ・オブ・ライフ」だ。よく考えると、ほとんどイギリス人に教育されたようなものだ。おそらく、これが、私がちゃんとした大人になれなかった大きな理由なのかもしれない。

しかし、マンチェスターのDJと話をして、イギリス人はさらに彼らの人生観、価値観形成にロック音楽が大きな影響を与えていることを理解した。総理大臣の就任式の取材では、「好きなロック・バンドは」というのが定番の質問になっているようだ。総理大臣も、この質問は予期しているので、結構、新しいバンドの名前を挙げるそうだが、すかさず「好きな曲は」とたたみかけるそうである。私が聞かれることは100%あり得ないが、私ならジェネシスの佳曲「シネマ・ショー」と答えるであろう。アルバムならば同バンドの「デューク」だ(ちなみに故ダイアナ妃の好きなアルバムはジェネシスの「トリック・オブ・ザ・テイル」。私の趣味と結構、近い)。ピンク・フロイドの「コンフォテブリー・ナン」、ピーター・ガブリエルの「ソルズベリー・ヒルス」、ヴァーブの「ビタースィート・シンフォニー」でも曲としてはいいかもしれない。さすがに、この質問でビートルズの曲は恥ずかしすぎて挙げにくい。たとえ、ペニー・レインが好きでも、そこでペニー・レインと言った時点で、相当馬鹿にされそうであるからだ。挙げるとすると「トゥマロー・ネバー・ノーズ」くらいか。こういう整理をしつつ、しかし、こういう質問を受けることがない人生を歩んでいることに気づき、寂しい気がする。DJとの会話で、ロック音楽というのは本当にイギリスに根付いた、むしろイギリスという国民のアイデンティティをも形成する非常に重要な文化であることを知る。感心するし、羨ましい気もする。私なんて16歳の時、ピンク・フロイドのザ・ウォール・コンサートをみるためにイギリスまで飛んだからなあ。当時はロシアを超えられないので、バンコクやカラチなどを経由した。あの頃は凄い執念があった。あの執念を今でも継続できたら、今の自分ではない自分になれたかもしれない。そんなことをしなくても、ちょっと背伸びすれば、そのようなライブがあちこちで展開しているイギリスって国は、とてつもなく素晴らしい。とはいえ、前述した偉大なるイギリスの音楽家達に対抗できるロック・ミュージシャンを日本もたった一人ではあるが輩出することができた。言わずもがなではあるが、椎名林檎である。最近はもうそのレベルではなくなったが、最初の2枚は素晴らしかった。グローバル基準をクリアしている。これが、マンチェスターのDJに相対したときの、私の日本人としての拠り所となっている。圧倒的なコンプレックスを持たないで踏ん張れるのは、我々にだっているもんねえ、と心の中で強がれるからである。椎名林檎は本当に日本人にとって、ありがたい存在である。彼女こそ国民栄誉賞を受賞するのにふさわしい。というか、こういう内容のブログを書くと、落ちがワンパターン化しているような気がする。失礼。


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