世界三大美港としてのシドニーを考察する [都市デザイン]
シドニーでフェリーに乗って、シドニー湾を観光する。世界三大美港というのがあるらしい。リオデジャネイロ、シドニー、そしてサンフランシスコである。まあ、バンクーバーも相当美しいが、これらが三大美港ということで通っているらしい。あと、ナポリは勝手に三大美港であると言っている。どこを落として自分が入っているのだろうか。ちょっと興味深い。さて、ナポリやバンクーバーはともかく、この三つの都市でどこが最も美しいか、と言われればリオデジャネイロであることは異論を待たないだろう。筆舌に尽くせないほどの景観美である。眩くばかりに美しい都市である。まあ、ヨセミテ国立公園のような場所に大都市ができた訳であるから美しいのは当然だ。私は初めてリオデジャネイロを訪れた時、これはランドマーク的には国立公園に当然、指定されるような景観美だな、と深い感銘を受けたのだが、しっかりとリオデジャネイロのど真ん中は国立公園に指定されていた。まあ、国立公園と一言でいってもオーストラリアのように540もの国立公園があるところはその価値は低いが、アメリカのように56しか指定されていないところは、そうとう価値が高い。ブラジルはオーストラリアよりアメリカ的にその指定の敷居は高いので、そういう意味でもリオデジャネイロのランドマークは凄いものがある。さて、サンフランシスコは3年住んでいたので、よく知っている。サンフランシスコに住もうというか、サンフランシスコの大学に行こうと思った理由がランドスケープに惚れ込んだからなので、当然、高く評価している。タム山、ディアブロ山を遠景に収め、ゴールデンゲート・ブリッジという素晴らしいランドマークを擁しているこの都市は、アメリカでもトップクラスの景観美を誇っている。とはいえ、リオデジャネイロとは同じ土俵にのぼることはできない。それは比較のレベルが違う。リオデジャネイロが比較するのは、都市ではなくもはやヨセミテ国立公園とかだったりする。ちなみに、最近のブログでも記した世界遺産のブルーマウンテン国立公園よりリオデジャネイロの方がランドスケープ的にははるかに迫力がある。
さて、そこでシドニーである。シドニーはリオデジャネイロのような派手さはないし、サンフランシスコのような自然系のランドマークがある訳ではない。ランドスケープに関してもサンフランシスコほどの美しさはない。じゃあ、今ひとつなのか、というとそういう訳ではない。三大美港と言われて、まあ、そうかもしれないな、と思わせる説得力がある。それは何か。まず、ハーバー・ブリッジとオペラハウスという二大ランドマークの存在感が大きい。ハーバー・ブリッジ、オペラハウス、そしてロックス周辺の摩天楼群、この3点セットがシドニー湾を前景として市内の各地から眺めることができる。これが、シドニーという都市のアイデンティティともいえる景観をつくりだしているのだ。そして、それを各地で観賞することができている。これはシドニー湾が多くの入り江を持っているという地形的な特徴からなのだが、この景観は結構、グッとくる。
さらに、水と都市活動の関係性が深い。というか、水を都市の魅力を高めるためにうまく活用している。その好例が1988年から開発を進めたダーリング・ハーバーである。ダーリング・ハーバーは、まあこの時期、アメリカをはじめとして日本でも天保山などで行われたウォーター・フロント開発の流れの中で行われた再開発であるが、親水性の演出がうまい。意味もなく設けられたベンチとかは、日本ではあまり見られない。こういう一見、経済的にはまったく無駄と思われるようなオープン・スペースの演出が都市の魅力を高めることを、もう少し日本の都市も認識するといいと思われるが、シドニーはここらへんをしっかりと押さえている。
ということで、シドニーは三大美港の他の二都市に比べると、ランドスケープ的にはそれほど美しい訳ではないかもしれないが、都市のつくり方のうまさ、マクロな都市デザインのうまさによって、それを美しいものへと昇華させることに成功したと思われるのである。まあ、ここらへんはもう少し、しっかりと都市計画史を調べてから言うべきなのかもしれないが、そう思わせられたのである。
それに比べて、日本は水に囲まれていながら、そこらへんの水の演出が戦後はうまくない。ランドスケープだって、驚くほど美しい都市は多い。函館だって、長崎だってランドスケープは相当、美しい。うまくできるだけの素材を有しているのに本当にもったいないことである。
さて、そこでシドニーである。シドニーはリオデジャネイロのような派手さはないし、サンフランシスコのような自然系のランドマークがある訳ではない。ランドスケープに関してもサンフランシスコほどの美しさはない。じゃあ、今ひとつなのか、というとそういう訳ではない。三大美港と言われて、まあ、そうかもしれないな、と思わせる説得力がある。それは何か。まず、ハーバー・ブリッジとオペラハウスという二大ランドマークの存在感が大きい。ハーバー・ブリッジ、オペラハウス、そしてロックス周辺の摩天楼群、この3点セットがシドニー湾を前景として市内の各地から眺めることができる。これが、シドニーという都市のアイデンティティともいえる景観をつくりだしているのだ。そして、それを各地で観賞することができている。これはシドニー湾が多くの入り江を持っているという地形的な特徴からなのだが、この景観は結構、グッとくる。
さらに、水と都市活動の関係性が深い。というか、水を都市の魅力を高めるためにうまく活用している。その好例が1988年から開発を進めたダーリング・ハーバーである。ダーリング・ハーバーは、まあこの時期、アメリカをはじめとして日本でも天保山などで行われたウォーター・フロント開発の流れの中で行われた再開発であるが、親水性の演出がうまい。意味もなく設けられたベンチとかは、日本ではあまり見られない。こういう一見、経済的にはまったく無駄と思われるようなオープン・スペースの演出が都市の魅力を高めることを、もう少し日本の都市も認識するといいと思われるが、シドニーはここらへんをしっかりと押さえている。
ということで、シドニーは三大美港の他の二都市に比べると、ランドスケープ的にはそれほど美しい訳ではないかもしれないが、都市のつくり方のうまさ、マクロな都市デザインのうまさによって、それを美しいものへと昇華させることに成功したと思われるのである。まあ、ここらへんはもう少し、しっかりと都市計画史を調べてから言うべきなのかもしれないが、そう思わせられたのである。
それに比べて、日本は水に囲まれていながら、そこらへんの水の演出が戦後はうまくない。ランドスケープだって、驚くほど美しい都市は多い。函館だって、長崎だってランドスケープは相当、美しい。うまくできるだけの素材を有しているのに本当にもったいないことである。