SSブログ

ビレッジホームズにて豊かな生活には質の高い公共空間が必要であることを改めて確認する [都市デザイン]

Villagehomes9959.jpg

ビレッジホームズを再度、訪れる。別にもう何回も訪れているので、特に今回、改めて訪れる必要もないのだが、デービス市内で自転車を借りたが、特に行く目当てもなかったので行ってみたのである。ビレッジホームズの解説に関しては、『日経エコ21』(日経ホーム出版)や『FORE』(不動産協会)、『住宅情報』(リクルート)、『ビオシティ』、『森林都市』といった雑誌に寄稿しているし、ムック『地方を殺すな』(洋泉社)では図解までしているので、もう流石に訪れても新鮮味はない。近著の『衰退を克服したアメリカ中小都市のまちづくり』では、ビレッジホームズの企画者であり設計者であるマイケル・コーベットと念願の取材までして、それまで抱いていた疑問点まで明らかにし、しかも、それを発表してしまったので新たなる好奇心も湧いてこない。とはいっても、行きつけの料理屋のように、そのそばまで行ってしまうと思わず寄りたくなってしまう感覚と同じで、思わず寄ってしまったのである。そして、行きつけの料理屋に何度行っても失望させられることがないように、今回のビレッジホームズも特に変化は見つけられなかったが、優れた設計のもと、しっかりとコミュニティが醸成していった住宅地は本当にいいよな、と今まで何回も受けた感慨を改めて受けたのである。そこで生活している人々が、周辺の自然環境と共生していることが感覚的に理解できる。まあ、アメリカの優れた住宅地、例えばウッドランズやポートラバレイ・ランチもそういう感じではあるが、これこそが理想の住宅地なのではないか、と思わせる魅力を放っている。まず、子供達が子供のように外で遊んでいる。住宅地が子供達を社会化させるうえで、しっかりとその役割を果たしている。住宅の私有地を削って、その分、公有地を増やした。その最大の成果であるローン(芝生)のゆとりある空間がつくりあげる豊かさ。コミュニティの豊かさは、この公共空間の質がもたらすのである、ということをビレッジホームズに来ると改めて理解する。

Villagehomes9968.jpg(コミュニティの真ん中に設置されたローン(芝生))
Villagehomes9963.jpg(コミュニティ菜園でつくられている葡萄が実っている)
Villagehomes9970.jpg(コミュニティを結ぶ歩道)

これは、何も住宅地でなくて都市レベルでもそうである。クリチバの元市長であるジャイメ・レルネルはそういうことをしっかりと理解している。逆に、私がどうしてもお台場や豊洲といった日本の錚々たる都市計画家が設計した新たな都市空間が好きになれないのは、豊かな公共空間を創造しようとする意思が見受けられないからなのである。土地利用の有効活用といったお金の指標に振り回されすぎており、結局、張りぼての大規模商業施設、オフィス向けの高層ビル、そして高層マンションが、お互いの相互連携が図れないような状態でぼんぼこ造られている。そこには新たに土地を埋め立てでつくりだして儲けよう、という不動産会社的な考えしか読み取れない。真に豊かな都市をつくりあげるためには、そして都市空間を豊かにしようとするには、公共性を豊かにすることが重要であり、そのための公共空間の質を高めることが必要なのである。ビレッジホームズはコミュニティの真ん中にコミュニティ・センターとプール、そして芝生を置いた。その達見から学ぶことが多い。拙著『衰退を克服したアメリカ中小都市のまちづくり』でビレッジホームズの紹介を書いています。さらに、その企画をし、設計までしたビレッジホームズ生みの親であるマイケル・コーベットの取材記事を掲載しているので、宜しければお読み下さい(って、最近、宣伝が多くてすいません。なかなか売上げが伸びていないので)。


衰退を克服したアメリカ中小都市のまちづくり

衰退を克服したアメリカ中小都市のまちづくり

  • 作者: 服部 圭郎
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2007/12
  • メディア: 単行本



nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0