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モーリス・ベジャールの追悼公演に行って、この国の世代間格差に気付く [その他]

モーリス・ベジャールの追悼特別公演を観に行く。東京文化会館だ。招待券なので希望したゼミ生3人もつれていく。モーリス・ベジャールといえば、ラベルの『ボレロ』だ。今回は、クィーンの音楽を用いた『バレエ・フォー・ライフ』。音楽が何しろ大袈裟でど派手なクイーンで、衣装がこれまたど派手なジャンニ・ヴェルサーチ。終盤ではベジャール最愛のダンサーであったジョルジュ・ドンの映像も映し出される。ジョルジュ・ドンとクィーンのフレディー・マーキュリーは、エイズであの世に逝った。

それはともかく、舞台は艶やかで、躍動感に溢れ、迫力はあった。個人的にはクイーンは好きではないのだが、その派手で仰々しい音楽は、バレエに合っていると感じた。まあ、これでもか、これでもか、といったくらいに大袈裟なメロディが流れてくる。その間に、人の死を語る場面においては、数曲モーツアルトの音楽が流れるのだが、結構、これがホッとさせるというか、安堵感をもたらすような効果をもたらしている。音源はCDそのもので、ウエンブリー公演のライブ音源がMCもそのままで使われていたりしたのは、ちょっと今ひとつではあったが、まあ、そういう細かいことも気にさせないような迫力がダンスにはあった。

まあ、15000円払おうとは思わないが、招待券で、無料で観る分にはまったくもって見応え十分なショーである。公演後は、客席も総立ちであった。しかし、この客席の男性のほとんどは団塊の世代以上の高齢者であり、女性も多くは中年以上であった。若い女性も多少はいたが、若い男性は皆無。つまり、中年以上の客層がほとんどであった。クイーンの音楽に親しんできたのは、私の世代のちょっと上から下、すなわち30代後半から40代である。その層の男性はほとんどいない。だから、この客層の多くはあまりクイーンを知らない筈だ。ということは、おそらく多くの人はクイーンとはどんなバンドかあまり知らないで、今回のショーを観たのではないか、とも推察される。それでいて、この受け具合だ。凄いな。

とはいえ、この公演で、私はジェネレーションによる大きな文化格差を感じたのである。すなわち、現在50代以上の人達は、結構、高額なバレエ公演とかを鑑賞する経済的、時間的ゆとりがあるが、若い世代にはそのようなものがない。コンサートとかバレエとかにある程度、親しむような文化的ゆとりが若い世代にはあまり与えられていない。50代以上の人達が、クイーンやヴェルサーチやらに彩られたバレエを観て、彼らの人生にどのような影響を与えるのか、と考えると、若い人達ほどは多くないだろうと思われる。なんか、むしろそういうお金があるなら、もう少し若い世代を育てる方向に投資をしたらどうか、と思ったりもする。もちろん、バレエ団もお金がいるから、彼らを支援するのでお金を費やすこともそれなりにいいのかもしれないが、どうもなあ。世代間に大きなギャップがあることを、モーリス・ベジャールの追悼公演に行って気付かされた次第である。


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