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菊池凜子が「世界で最も美しい100人」に選ばれたことが示唆すること [グローバルな問題]

2007年5月に発売されたアメリカの雑誌『ピープル』の「世界で最も美しい100人」の一人に菊池凛子が日本人で唯一選ばれた。『ピープル』は日本でいえば、『女性自身』のようなものか。私もアメリカに住んでいた時は、ときたま購入していた。特に、「世界で最も美しい100人」の特集号は結構、気に入っていた。それに菊池凜子が選出された。強い違和感を覚えていたのだが、映画『バベル』を観ていなかったので、まあ、それを観てから考えようと思っていた。というのは、彼女がピープル誌に注目されたり、雑誌『ローリング・ストーンズ』で記事が取り上げられたりしたのは、『バベル』の影響が強烈であったからだろうと思われたからである。そして、その『バベル』を観た。聾唖の少女を演じる菊池凜子の演技力は鬼気迫るものがあり、アカデミー賞女性助演賞の候補になるだけのことはあると納得させられた。しかし、その演技はむしろ狂気というか異常性を強烈に発しているものであり、女性の美しさや女性美はまったく感じられないものであった。ヘアヌードも、そこに女性美はもちろん、淫靡さも感じられず、ただ痛々しさだけが強烈に印象に残るようなものであった。まあ、映画的にはその演技は正しいのかもしれないが、ちょっと、これはやはり「世界で最も美しい100人」とは違うのではないか、と思わす艶やかさのなさであった。

まあ、そういう文句を言うのは、菊池凛子より「美しい」日本人はもっと、たくさんいると思うからである。そして、そう思う日本人も私だけでなく、たくさんいると思う。例えば女優に限っても、沢尻エリカ、松雪泰子、麻生久美子、黒木メイサ、田中麗奈、仲間由紀恵、長谷川京子、葉月里緒奈、松嶋菜々子、原田美枝子などの方が圧倒的に「美しい」と個人的に思う。「日本で最も美しい100人」に入るか、と言われてもクエッションマークがつく。それじゃ、どうして雑誌『ピープル』が「世界で最も美しい100人」の一人に菊池凛子を選んだかというと、まあ、日本女性のことを知らないからであろう。たまたま、菊池凛子がカルト的な映画で、凄い演技をしたことで、怠慢なアメリカの雑誌編集者が日本女性にもそこそこ美しい女性がいると気付いて、取り上げただけのことではないかと思われる。

さて、これからが本題なのだが、私がここで非常に気になるのは、グローバリゼーションという名の世界のアメリカ化が進むと、こういうアメリカ的な女性の美しさの価値観も押しつけられていく、ということが生じることである。そして、アメリカで評価されること、アメリカ的価値観で評価されることが重要な評価軸となっていく。陪審員制度のような愚劣な制度がなぜ、日本に導入されたかというと、それがアメリカで使われている制度であるからである。しかし、OJシンプソンの裁判でも分かるように、陪審員制度には多くの問題がある。そもそも、判事が極めて少ない植民地国家アメリカで設けられた制度をなぜ日本で導入しなくてはならないのか。これによって、アメリカのように弁護士の需要が増えていくことになるが、アメリカのように裁判がしょっちゅう起きている社会が果たして我々の望んでいる社会なのか、極めて疑問だ。しかし、アメリカの企業とかは日本でビジネスがやりやすくなるのは確かだし、裁判がいっぱい起きれば、アメリカの弁護士事務所もビジネス・チャンスが広がると考えているのであろうか。我々がパンをたくさん食べるようになったのは、アメリカの小麦がだぶついたことによって政策的に食べさせられたためであることは、阿部和重の小説『シンセミア』にて紹介されている。まあ、戦争で負けたあとは、いろいろな側面からアメリカの都合のよいように我々の社会は変革させられたが、しかし、その変革する主体であるアメリカの価値観がしっかりしているか、というと極めて疑わしい、ということを雑誌『ピープル』の「世界で最も美しい100人」の一人に菊池凛子を選んだことは示唆しているのである。これが、「世界で最も演技がうまい100人」なら納得する。しかし、「美しい」というのは違うでしょう。まあ、アメリカが押し進めるグローバリゼーションなんていうものは、相当いい加減なのだから、我々がしっかりして、馬鹿なことを言っても相手にしないで、むしろお前等が馬鹿であるということを教えてあげるくらいの態度で臨まないとまずいと思う。じゃないと、菊池凜子は沢尻エリカほど美人じゃないよね、と思う我々が馬鹿でおかしいことになってしまう。そして、こういう議論を英語でしようとしても、本場のアメリカ人に太刀打ちできる訳はまったくないので、どうせろくにしゃべれない英語など捨てて日本語をしっかりと勉強すべきなのではないか、と思う私であるが、ますます受験英語は難しくなっているようなので(東大の英語の入試問題をこのあいだ見たが、あまりの難しさに驚いた。これは帰国子女でないと英語で生活するぐらいの覚悟で勉強しないと解けないであろう)、本当に昨今の日本の若者は可哀想である。ただし、彼らが、菊池凜子は、演技はうまいがあまり美人じゃないよね、という日本人的な価値観はしっかりと育ててあげていきたいと思うのである。


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