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多摩ニュータウンとサンリオ・ピューロランド [都市デザイン]

4歳の娘がどこかに連れて行けと、うるさくせがむので多摩動物園に向かったら休みであった。途方に暮れる娘を前にして父親の威厳を保つためにも、この状況をどうにか突破しなくては。多摩テックは運動神経が悪く、乗り物嫌いの娘には不向きだ。しかし、それ以外に選択肢はないか。と諦めモードで改札を出ようとした私の目に飛び込んできたのが「サンリオ・ピューロランド」のちらしであった。そうだ!娘はキティ好きだ。ということで、多摩都市モノレールに乗って、多摩ニュータウンへと向かった。

多摩ニュータウンを降りると、いきなりペデストリアン・デッキである。ペデストリアン・デッキは結構高く、ここから飛び降りたら相当の確率で死ぬな、と思わせる。このように死が結構、近くにあると意識させる都市空間って子供にはそれなりの影響を与えるだろうな、と考える。そして、パルテノン多摩と駅とを結ぶモールを歩く。やたら、電飾が施されており、まるで祝祭空間である。誰がこの電気代を払っているのか?と気になるが、まあ何となく華やいだ気分になる。そして、サンリオ・ピューロランドへと向かう参道。この沿道は、テーマパークの周辺にあるようなファスト風土などを中心とした商業空間になっているが、あまりの都市デザインの悪さに思わず目を覆いたくなる。なんで、こんなに都市デザインが悪いのか。これは、おそらくこの都市デザインが悪いということに気付いていない、もしかしたらよいと思っているからであろう、と私はこの年になってようやく気付いたのである。悪いと思っていないことを直すことは難しい。それじゃ、何で私が悪いと気付くのか、というと、これは海外で都市デザインの勉強をしてきたからである。だから、もっと私はこのような都市デザインの仕事をするべきであるのに、悪いと思っていない人達に「悪い」と言っても仕事につながらないのである。これは、私的にも大きな課題であるが、大学の仕事にかまけて本気に取り組んでいない。しかし、多摩ニュータウンは日本の都市デザインのレベルの低さを如実に物語っている。文化度が低いと批判されても何とも言いようがない。残念である。

さて、そしてサンリオ・ピューロランド。私はここに来るのは2度目である。長女を以前、つれてきた時は眩暈がして、2度と来るまいと思ったが、次女に甘い私は、上記のような状況に陥ったために、来てしまったのである。前回はパスポートを購入しなかったので、何もアトラクションとかも経験しなかったのだが、今回はパスポートを購入した。どうもアトラクションを2回乗れば元が取れる仕組みになっているようだ。それでボートに乗ってみた。ディズニーランドのイッツ・ア・スモール・ワールドのぱくりだが、次女はそれなりに楽しんでいたようだ。その後、うるはながどうのこうの、と娘がわめいていて、なんだか理解できなかったので、近くの係の人に通訳してもらったら、「うさはな」のショーが観たいと言っていたそうだ。うさはなが何だか分からないので聞いてみると、どうも「キティ」の一味らしい。ということで「うさはな」のショーとあとシナモンとか言う耳のでかい妖怪のような奴のショーを観た。どちらも、なんか宝塚のような華やかな女性がパリのキャバレーに出てくるような格好で踊っており、彼女たちとキティや耳のでかい妖怪のような奴とが一緒に踊っている舞台は、異様であった。日本人でなければ、私は相当のショックを受けているだろうが、日本人なのでどうやら受け止められた。と書きつつ、前回は受け止められなかった自分がいたことに気付いた。まあ、二度目ということでショックが大きくなかったことと、年をとったのでいろいろなことに寛容になっているのかもしれない。サンリオ・ピューロランドは、なんかプラスティックとビニールで出来た御菓子と可愛さと色っぽい健康女性が充満している場所であった。ううむ、苦手だ。

帰路に着くと、もう当たりは真っ暗であった。京王多摩線の車窓からみえる光景は、高層マンションと高規格の道路であった。それは、フランスのニュータウンやイギリスのニュータウンの光景と極めて類似している。高層マンションというか高層団地の周辺のオープンスペースがもの悲しさを誘う。こういうところに誰が住みたいと思うのだろうか。マンションを売るときの広告のレンダリングはさぞかし美しく、健康的であったのだろう。しかし、生活臭が漂ってこない、茫漠とした空間のなかにぽつねんと林立する高層団地の寂寥感。これは日本だけでなく、他のニュータウンやマレーシアの新興団地でも感じたことなのだが、空間的なつながりを断絶する広幅員の道路と団地群の寂しさといったらない。永福町の住宅地がそれほど暖かみに溢れているとは思わないが、樹木の高さより低い建物が肩を寄せ合うように建つことで形成される空間に私は居心地の良さと安心感を覚えるのである。ということを再認識した。


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