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浜野安宏 [都市デザイン]

浜野安宏氏の講演を聞きに行く。浜野氏は私が会社に入った頃、すなわち20年くらい前になるのだが、まさに時の人であった。当時、日本はバブルであり、私はなんかバブルの波に乗った人という胡散臭いイメージを持っていた。私の会社でもバブルに乗った自称都市プロデューサーがいて、非常にいんちきだったので、まあその類かと思っていてあまり彼に関心を持っていなかった。しかし、彼は大変高い見識を持つ情熱家であることが分かった。講演の冒頭でいきなり、東京をダメにしているのは森ビルと安藤忠夫である!と言ったのには、ほとほと感心した。これは、真実であるのだが、誰も正面切っては言えない。私も、なかなか言えない。しかし、浜野氏は宣った。そして、ストリートを返せ!と言う。自らをストリート派という。そうだ!東京の魅力は、ストリートにある。東京だけでない。魅力ある都市の根源はストリートである。パリの魅力はパッサージュにある。バルセロナだって、ランブラスから入った路地にこそ魅力が詰まっているのだ。ミュンヘンでもミラノでもロンドンでもそうである。

ストリートは、アベニューではない。アベニューは自動車のための道路というニュアンスがあるが、ストリートはヒューマン・スケールである。青山が魅力的なのは、青山通りと表参道があるからではない。表参道から無数に派生する路地、青山通りからちょっと入った裏通りにこそ根源的な魅力がある。そして、そのようなところでこそ都市文化が生まれるのである。なぜなら、文化は人との衝突からしか生まれないからである。自動車に乗っていても、偶発的な人との交流は事故った時以外にはあり得ない。名古屋や仙台、フィニックス、ダラスといった自動車型の都市は、このストリートが少ない。だから、人口が増えても大きな田舎と揶揄されるのである。ストリート・カルチャーを育むためには、人々を自動車から降ろさなくては駄目なのである。そういうことが理解できた講演であった


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